轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふくろうのめ

梟の眼

大倉 燁子

「キング 一三巻三号」1937(昭和12)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,354 字 · 23 页

青空文庫

銀座を歩いているうちに夕方になったので、円タクを拾って家へ帰ったが、外套を脱ぐのも億劫な位、がっかりした。考えれば、考えるほど、気が滅入る。

「ああ、あのダイヤが欲しい!」

溜息と一緒に、ツイ口に出してしまってから、急に恥しくなり、顔を赤らめて起ち上り、ポケットからハンカチを掴み出した、カチリ! 床に落ちたものがある。オヤッと思って、見ると、白っぽい、光った小さなものがころころと転げて、室の隅の壁際で停り、電燈の灯を受け、ピカッと眼を射た。

ダイヤだ、ダイヤの指輪だ!

三越の店員に慥かに渡したと思っていた五千八百円の指輪だ。彼女は頭の先から足の先まで、ジーンと電気でも伝ったように感じ、体が硬直って身動きも出来ない。

どうして、ポケットの中に、あのダイヤが入っていたのだろう? 欲しい! と深く思い込んだあの刹那の念力にひかれて、転げ込んだのではあるまいか。まさか――そんなことがあろうとは信じないが、嘗てある霊能者の物品引寄せというものを見たことがある。もしああいう事が、実際に出来るものだとしたら――、あるいは――。

陽子は怖くなった。

今にも、三越から何とか云って来やしないだろうか。