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たのしいソヴェトのこども

楽しいソヴェトの子供

宮本 百合子

「女人芸術」1931(昭和6)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,595 字 · 10 页

青空文庫

――どうしたのさ、急に!

――今日、きっと行くと思うんだよ。

――どこへ?

――動物園へ。インドでね、象はとても働くんだよ。母さん知ってる? イギリス人がインドで象とインド人をひどく使って儲けてるんだ。象みたことないから、先生がみんなつれてくって。

母さんが、毛糸肩掛を頭へかぶってしまうと、先ずミーチャが扉から外へとび出した。続いて父さんが出、一番しまいに母さんが出て、締りを見て、ポケットへ鍵をしまった。父さんは、トトトトト勢よく階段を先へかけ下りて行っちまった。ミーチャだって、もう「十月の児」だ。手になんぞつかまらない。手欄をこすって降りてゆく。(八つから十五までがピオニェールだ。それより小さい子は、みんな十月の児と呼ばれる。)

一番下の、大きい戸をあけると、外はひろい中庭だ。春は花壇に綺麗な花が咲くが、まだ深い雪の中から、緑色の花壇の仕切りの先が見えるだけだ。

この頃ミーチャは、いつもこの鳩のいる中庭で母さんと別れる。母さんは、工場で職場代表をやっている。いい労働婦人だ。昔風な接吻なんかしてミーチャを甘やかしはしない。

――じゃ、いっといで!