轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 页

青空文庫

甲斐は無関心な、あっさりした口ぶりで続けた。

「なぜかといえば、私の首を覘う者はその一人だけではないからだ、ほかにも相当いるようだし、これからも出て来るだろう、現にその七十郎自身も、いつ私を斬ろうとするかわからない、そうではないか」

七十郎は笑った。乾いた笑い声であった。甲斐はやさしい眼で、笑う七十郎の顔を眺めていた。

「私が貴方を斬るんですって」

「もっと笑ってもいいよ」

「私が原田さんを斬るっていうんですか」

甲斐はやさしい眼で七十郎を見まもり、七十郎は怒りのために吃った。彼はふところで組んでいた両手を出し、衿を掻合わせながら、冗談じゃない、と吃った。

「いくらうろたえたって、暗殺者になるほど私は自分を軽蔑しやあしない、ことに貴方を斬るなんて、うぬ惚れてはいけませんよ、原田さん」

甲斐はまた微笑し、では一人減ったわけだな、と云った、「七十郎が私の首を覘わないとすれば有難い、七十郎が覘えば、決して討ち損じはしないだろうからな、しかし、それでも一人減っただけで、ほかに刺客はいくらでもいる、そういう者がほかにいることは、七十郎も知っている筈だ」

「どうしてです」