轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 页

青空文庫

「いずれにしても、拒絶はむずかしい、拒絶すればこうと、二段の策が用意してあるとみなければなるまい」

「待て待て、少しいそぐか」と七十郎が遮った。

向うから百姓が二人、荷駄を一頭ずつ曳いて来かかった。七十郎は歩みよって、どこの者だと訊き、自分の名をなのったうえ、そくばくの銀を渡して、その馬を借りるはなしをつけた。すると、はなしがまとまって、百姓が鞍の荷をおろしかけたとき、うしろから呼びかける者があった。

初めはこっちが呼ばれているとは気がつかず、百姓たちが鞍の荷をおろすのを眺めながら、「石巻までくらべ馬をしよう」などと云っていた。そこへ旅装の侍たちが三人、いそぎ足に追いついて来た。

「その馬を借りるぞ」と先頭の侍がどなった。

十左が振返り、七十郎が振返った。三人はいずれも若く、先頭の一人は髭だらけで、朱鞘の三尺に余りそうな大刀を差していた。かれらはみな逞しい躯つきだったが、特に中の一人は六尺を越す背丈で、固ぶとりに肥えており、直径三寸ほどの大槍を担いでいた。

「百姓、その馬はわれわれが借りるぞ」と髭の若侍がまたどなった。

十左がなにか云おうとし、七十郎がそれを制した。