轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 页

青空文庫

新左衛門は「うん」と頷き、軽く咳こみながら立ちあがった。

「そうかもしれない、そこもとの云うとおりかもしれない」と立ったまま彼は云った、「だが私は自分で慥かめてみる、もういちど、腹を割って話してみるつもりだ、それが最後の御奉公だと思う」

「最後のですって、――」

「私はもう、いくらも生きられないのだ」

「ばかなことを」

「いや、もう長いいのちではない、それは自分でよく知っている、医者は病気が山を越したと云うし、自分でもときにそうかと思うこともある、だがそうではない、気力の衰えや、躯の芯から精のぬけてゆくことが、自分にははっきりわかる、もう先は短い、ということがわかったから、このいのち一つをお役に立てようと思ったのだ」

「貴方らしいな」七十郎は酒を呷って云った、「おれは治ると云いだす病人は死ぬが、もう死ぬと云う病人は治るものです」

「そこもとには似あわない」と新左衛門が微笑した、「そういう慰めはそこもとには似あわないな、だがもう疲れた、失礼して休息することにしよう」

「いつ江戸へ立たれますか」

「明日の朝、――」そう云って新左衛門は去った。

七十郎は銚子を取ったが、酒がなくなっているので「おい」