轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 页

青空文庫

「嘘をつくな、知ってるぞ」と六郎兵衛が遮った、「きさまは囲い者になったり、寺のかよい大黒になったことを云うんだろう、嘘をつけ、いまになって辛いなどと云ってもごまかされはしない、辛いどころか、きさまはそれが好きだった、きさまにはそれがぴったり合っていたんだ」

「あなたがそう思うのはあなたの勝手です」

「自分に訊いてみろ、おれよりきさま自身がよく知っている筈だ、きさまに限らず、女などというやつはみんな同じだ、おれは知ってるんだ」

「ようございます、それはあなたの仰しゃるとおりだと致しましょう、もうわたくしにとってはどちらでもいいのですから」とおみやは云った、「ただ、――これからさきは、わたくしはわたくしでやってまいります、どうかもう、これまでのようにわたくしを当てになさらないで下さいまし」

「それは本気で云うのか」

「眼をごらんになって下さい」

おみやはまともに兄の顔を見ていた。六郎兵衛は拳をにぎった。なにか兇暴なことをしたいという、激しい衝動がつきあげてき、彼は持っている盃を、膳の上へ叩きつけた。それは皿や小鉢には当らず、塗膳のふちに当って飛び、敷畳の上へ転げた。