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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

05 第五部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页

青空文庫

ガリ版刷りがみんなにゆきわたったころには、次郎は、もう、室の隅に据えてあったオルガンの前に腰をおろしており、先生夫妻と、炊事の並木夫妻と、給仕の河瀬の五人が、室の中央に輪を作って立っていた。

やがて、オルガンにあわせて、五人は歌をうたいながら、踊りだした。手ぶりや、足のふみ方や、ぐるぐるまわって行進したり、あともどりしたりするところなど、すべては盆踊りそっくりだった。歌の文句は朝倉先生と次郎の合作で、つぎの四節から成っていた。

板木鳴る、鳴る。浄めの朝だ。

こころしずめて打つかしわ手は、

わかい日本の脈音だ。

くぬぎ、赤松、ほのぼの白みゃ、

さあさ、世界のあけぼのだ。

板木鳴る、鳴る。張りきる胸だ。

咲いたつつじが照る日に燃えりゃ、

わかい日本の血の色だ。

真理もとめて走ろか、友よ。

さあさ、世界の駈けくらだ。

板木鳴る、鳴る。そら飯時だ。

色は黒ろても、半つき米は、

わかい日本の持ち味だ。

腹ができたら、ひと汗かこか。

さあさ、世界の地固めだ。

板木鳴る、鳴る。日暮れの杜だ。

一風呂あびて円坐を作りゃ、

わかい日本のいしずえだ。

語れまごころ、歌えよのぞみ。

さあさ、世界の平和だ。