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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
05 第五部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页
五人の中で、朝倉先生の踊りが目だってぎごちなかった。しばしば手のふり方や、足のふみ方をまちがえて、前後の人を面くらわせ、時には鉢合わせしそうになることもあった。そのたびに、塾生たちは手をたたき、腹をかかえて笑った。
朝倉夫人は、手振りのあい間あい間に、おりおり塾生たちを手まねきしては、踊りの輪に加わらせようとした。はじめのうちは、みんな尻ごみして、笑ってばかりいたが、踊りに自信のできたらしい塾生が、二三名、思いきって飛びこむと、あとは、つぎつぎにその数がふえて行った。
踊りはいつまでもつづき、時がたつにつれてその輪が大きくなり、あとでは、輪を二重にしなければ、室が狭すぎるほどになった。そして、そのころになると、まだ輪に加わらないでいる塾生は、ほんの四五名にすぎす、その四五名も、そうなると、すわっているのがかえってきまりわるくなったらしく、とうとう頭をかきかき、一人のこらずたちあがった。その四五名の中には田川や飯島がいた。大河や青山は、もうとうに踊りはじめていたのだった。
踊りの輪が大きくなり、二重になるにつれて、全体としては、しだいに熟練の度をまして行った。