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かしゅう『しゅうだんこうしん』によせて

歌集『集団行進』に寄せて

宮本 百合子

「短歌評論」 1936(昭和11)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,455 字 · 5 页

青空文庫

ようやく終った所長の訓示

ヒヤカシ半分に拍手浴びせ

ワッと喊声あげて職場へ引き上げる。(水原蓮)

など、この前にある二首とともに、そこに集る労働者たちの若さ、肉体の動き、足音、身なり、声々まで想像され、よく生活的に描写されていると感じました。情景のまざまざととらえられ感情化されている作品として、「橋梁架設工事」「生活の脈動」「町工場」「シベッチャの山峡」「下水工事場」「三河島町風景」「無題」などの中に、いくつか印象のつよい作がありました。山田清三郎が獄中からよこす歌には(独房集)何とも云えぬ素直さ、鍛えられた土台の上に安々としている或るユーモアの境地があり、作品に独特なおもむきを与えているではありませんか。

ところで、この『集団行進』をよんでも思うことは、時事問題を芸術として扱うことの必要と同時についておこるその難しさです。ソヴェトの建設について「思想も統制」されることについて、私たちの日常生活は切れない影響をうけているのだから、それらは芸術化されなければならず、更にこういう主題こそ一層の形象化、具体性を必要とすると思われます。詩人の間に諷刺詩の制作の要求がおこっていることは、今日私たちが取りくんでいる社会情勢との関係で謂わば自然な人間的要求の一発露でしょう。