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かしゅう『しゅうだんこうしん』によせて
歌集『集団行進』に寄せて
宮本 百合子
「短歌評論」 1936(昭和11)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,455 字 · 5 页
詩のジャンルとして諷刺詩というものがあり得るとか、あり得ないとかいう論議より先に、私共は実際生活の場面で屡々それに対して憤りの感情を激発され、しかもそれなりの言葉では云い現わせないという窮屈な事情に出くわしつづけているのです。一九三六年版の年刊には、果してどのように成長した時事的作品が短歌の境域に出現するか、見落せない期待のひとつです。
山田あき、田中律子という二人の婦人の作品はそれぞれ注意をひき「織布部のうた」は日々の生活の感情がにじみだしている粘着力のつよさが作品の上に感じられます。
けれども、五十九人の作者、約七百余首の作品が収録されているというこの『集団行進』の中に婦人の作家はたった二人であること。これは、私達によろこびより寧ろ深刻な警告を与える事実であると思います。『主婦之友』、『婦人倶楽部』などの短歌欄に投稿している婦人の数に比べて、この二人という数は何百分の一に当るでしょうか。『集団行進』の中に辛うじて二人の先達を送った婦人の大衆はまだまだ「やさしい婦人の歌心」という程度のところに引止められていて、生活のあらゆる重荷にひしがれながらせめてもの息のつきどころ、自分ひとりの金のかからない慰め、現実からの逃げ場所として和歌でもつくっているのであると思います。