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れきしたんていほうほうろん
歴史探偵方法論
「新潮 第四八巻第一一号」1951(昭和26)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,900 字 · 16 页
一見したところ用途不明の品物が多いが、しかしその存在の理由、使用の目的は必ずなければならぬ。それらのものをいかに用いて生活、または犯罪を行ったか。タンテイは現場をメンミツに調べる。しかし単に推定だけでは証拠になりません。軽率に証拠をそろえて犯人をあげると、弁護士に不備をつかれてヒドイ目にあう。タンテイの発見した証拠は法廷に於てさらに真偽の論争を展開する。不確実なものは忽ち証拠不充分として捨て去られます。一審二審と重ね、さらに高裁、最高裁と重ね、タンテイの証拠の発見からはじまって犯人が定まるまでには法医学や鑑識科学等の現代の総智をあげて証拠の真偽を争い証拠力の軽重を判じて結論に至る。タンテイはカリソメのものではありません。証拠に偏見は許されないし、真にヌキサシならぬものと万人に納得されるものでないと薄弱な証拠として捨て去られる。本当のタンテイ作業というものは決していい加減では済まない。
それにくらべると、歴史の場合には証拠の扱い方がルーズです。証拠の扱い方には手前勝手なことは許されない。これがオレの流儀だというようなものではない。真実を推定する方法に二ツはない筈だが、歴史の場合には公判をひらいて法廷に真偽を定めることができるような筋が立っていない。