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みずのしたのいし
水の下の石
山本 周五郎
「新武道」1944(昭和19)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,791 字 · 28 页
者はわたくしに選ばせて頂けますか」「よかろう、しかし誰々をつれてゆくか」大七はすぐに五人の名をあげた、図書助は黙って頷いていたが、さいごに加行小弥太というのを聞くと眉をひそめた、そしてもの問いたげにこちらを見た、大七はその眼に気づかぬような顔で平然と相手を見かえしていた。
日が昏れると間もなく、竹沢隊は追手の兵と合するため陣をはらって去り、あとには大七はじめ決死の者六人だけが残った。夜が更けてゆくと、ときどき怯えたように城から銃声が起った、城壁に火花のはしるのがみえ、弾丸が高く低く、空をきってひゅうひゅうと飛んだ、六人は「手雷火」というものを準備していた、簡単にいうと筒へ火薬を填めたもので、口火をつけて投げると目的物に当って炸裂し、強い火薬が飛散してそこへ火を放つ武器である。準備が終ると兵たちに横になれと命じて、大七は小弥太を脇のほうへ誘った、「……たいてい察しはつくだろうが、今夜は必死だ」かれはそう云って友の顔を覗いた、小弥太は黙って頷いた、「むろん死ぬだけでいいなら期したことだが、今夜の任務は死ぬだけではゆるされない、たとえ一人でも二人でも侵入して城中へ火を放たなくてはならぬ、……わかるな」