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すいちゅうのかいじん
水中の怪人
山本 周五郎
「少年少女譚海」博文館、1939(昭和14)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,922 字 · 18 页
僕は、社長が水中砲の発明をしておられるのを知って、ふと、その砲を操縦するために、自由潜水服があったらと考えつきました。……それは現在のような不活発な動作しかできない潜水服では駄目です。魚のように敏活で、自由自在に海中を走ることができなくてはなりません。――僕は苦心しました。そして、先ずリュベッカーの空気補給法をとり、それに魚類の体面を組みあわせる研究を始めたのです。――結果はごらんの通りでした。ついに僕は、『河童第一号』を作ることに成功しました。
これを完成したとき、僕はふと悪心を起したのです。いちど設計図を盗もうとした罪がある。どうせいちど罪を犯したんだ。いっそここで、社長の水中砲の設計も手に入れ、自分の発明といっしょにどこかの軍部へでも売って大金持になろうと……」
「よく白状した、もういい」
社長は静かにうなずいて云った。
「罪は罪として、君の発明はりっぱなものだ。これからはその発明を生かすために、心をいれかえて勉強し給え、工場の研究所も貸すよ」
「僕もお手つだいするぜ」
文吾が側から笑いながら云った。……外は晴れあがった五月の空であった。