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えどまえのつり
江戸前の釣り
三遊亭 金馬
在线阅读三遊亭 金馬《江戸前の釣り(えどまえのつり)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,910 字 · 214 页
少ないときでも五、六十尾は楽に釣れる。
「きょうはお客さまが多いのですよ」
といえば、百五十尾から二百尾ぐらい釣る。ぼくが釣っていると、板前が取りにくる。
養魚池であるから、餌なんぞは何でも食ってしまう。蝶にバッタ、クモにトカゲ。飛んでいるトンボを捕らえ、羽を半分切って池へ入れると、ガバーッと水面から一尺ぐらい飛び出して食ってしまう。
ミカンの皮をわざわざむしって放り込むと、すぐ吐き出してしまうが、一度はガバーッと食う。釣り方のじょうず、へたなんぞはない。七つ、八つの子供に竿を持たせて、餌なしの空針でも釣れる。泊まっている女、子供まで、初めはおもしろがっていたが、そう誰にでもたやすく釣れると、みな飽きてしまって、しまいには誰も釣ろうとしない。
八月も末になると、だんだん日帰りの客が多くなり、泊まり客が少なくなる。一日分として五十尾釣りあげると、半分は冷蔵庫へ入れておくことになる。冷蔵庫といっても氷ではない。冬の間から、裏山へ囲っておいた雪を掘り出してきて、入れるのだ。昔、加賀さまから江戸の将軍さまへ献上になった、お雪さまを思い出す。
そこで、ぼくがマスを釣って、もとの池へ放してやる。