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なみあらくとも
波荒くとも
小川 未明
「小学五年生」1939(昭和14)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,368 字 · 11 页
」と、叔母さんがいいました。
叔父さんは、足音をたてぬようにして、三郎の寝ているへやへ入りました。三畳のへやには、すみの方に吉雄の机が置いてあって、そこへ床を敷いたので、病人のまくらもとには、薬びんや、洗面器や、湯気を立たせる、火鉢などがあって足のふみ場もないのです。しかし、ここばかりは、冬とも思えぬ暖かさでありました。叔父さんは心配そうに、病人の顔をのぞきこみました。よく眠っています。
「顔色はいいようだ。これならだいじょうぶだ。」
叔父さんは、へやから出ると、こういいました。
昨日あたりから、あたたかな風が、吹きはじめました。もう春がやってくるのです。吉雄の学年試験も終わって、来月からは六年生になるのでした。三郎は、また病気がなおって、これも来月のはじめから、工場へ帰ることになりました。二人は、ここ数日間を楽しく遊ぼうと緑色の芽が萌え出た堤の上まで、出てきたのでした。