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じんだいしのけんきゅうほう

津田左右吉歴史論集

津田 左右吉

津田左右吉『津田左右吉歴史論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:神代史の研究法、陳言套語、東洋文化、東洋思想、東洋史、流れ行く歴史の動力、日本上代史の研究に関する二、三の傾向について、日本精神について、日本に於ける支那学の使命、日本歴史の研究に於ける科学的態度、日本歴史の特性、歴史の矛盾性。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,964 字 · 229 页

青空文庫

陳言套語

僕のような融通のきかない学究がこういう雑誌に書くということは、甚だ不似合な仕わざであろうと思う。老の繰言の如き、生彩のない、調子の弱い、従って読者に何の印象をも与えない、贅言をくどくどと列べ立てるのが癖だからである。しかし、是非にということであるから、悪文の見本のつもりで書くことにする。ことわるまでもないことであるが、奇抜な考をいうのでも新しい説を述べるのでもない。平凡の、ありふれた、当りまえの、ことをいうのである。つまり、いわないでもわかっていることをいうに過ぎないのである。

もう、とっくに、そんなところを通り越している時代だと思うが、それでも今なお世間の一隅には、我が国固有の風俗とか固有の国民的精神または国民性とかいうことを高唱しているものがある。風俗とか国民的精神とか国民性とかいうものが、昔から今まで動かないで固まっていたものででもあるかのように聞こえる。が、そんな考が事実に背いていることはいうまでもなかろう。

例えば、我が国は家族主義の国であるという。家族主義ということばの意味は甚だ曖昧であるが、世間でいうところを聞くと、徳川時代に行われていたような家族生活の状態を指すのらしい。