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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
しかもこの場所というのが、敵にとって便利この上もない巣窟にちがいない。この上どんな殺人的仕掛があるやら分らないし、またいつ危急を聞きつけて、決死的な新手の団員が殺到してくるか分らない。それを思うと、長居は頗る危険だった。
それにも拘らず、折角目の前に望みながら、どうにも手のつけようのない謎の大図譜! 流石の帆村探偵も、火葬炉の中に入れられたように、全身がジリジリと灼熱してくるのを覚えたのであった。
「さあ、――」と帆村は首領の背中を銃口で押して威嚇した。「この図譜が出て来たからには、もう観念してよいだろう。こいつの実行期は何日だ、それを云ってみたまえ」
帆村は、さも計画を熟知しているような顔をして、この機密に攀じのぼるための何かの足掛りを得たいつもりだった。
「はッはッはッ」と「右足のない梟」は太々しく笑って、「儂に聞くことはないでしょう。御覧のとおりですから、勝手にお読みになったがいいでしょう」
読めというのか。ではこの図譜の上に、すべてのことが書かれているのだ。――だが読めといっても、この花鳥乱れるの図を何と読んでいいのだろう。
「フフフフ、どうです。