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りゅうこうさっかのし

流行作家の死

野村 胡堂

「新青年」1932(昭和7)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,876 字 · 28 页

青空文庫

「…………」

千種は少年を促して、向い合って椅子を引寄せました。

「詳しく話して御覧」

「あの――、今朝、売物の新聞を読むと、小栗と言う人の遺産の事を書いたあとに、あの晩、頼まれて新聞社へ電話を掛けた人が名乗って出たら、お礼をやるとありましたが、本当でしょうか」

「本当とも、さア、金は此通り用意してある、何んでも洗いざらい皆んな話してくれ、君はあの晩電話を掛けた本人かい」

千種は紙入から紙幣を何枚か抜出して、少年の前へ置きました。

あれから電話局へ何遍か問い合せましたが、渋谷駅前の自働電話から、関東新報の編輯局へ掛けたことだけは解りましたが、それ以上はどうしても解らなかったので、到頭今日の朝刊に広告を出す段取になったことは、側で黙って聞いて居る早坂勇も大方知って居ります。「兄貴は愈々本気だな――」そう思うと、一と掴みほどの汚い少年の前に居る足の勇も、何んとなく武者顫いらしいものを感ずるのでした。

「そうです、僕なんです――、あの晩は寒い晩で新聞の売れが悪かったんで、十一時半頃までかかって、漸く籠を空けて帰ろうとすると、女の人が僕を呼び止めたんです」

「女」