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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
五秒、十秒、十五秒……。哨戒艦の探照灯は、ようやくこっちの方向を嗅ぎつけたらしく、どれもこれも近くへ集ってきた。
もしその光のうちに、捕らえられてしまうと、次の瞬間、敵の砲弾はおそろしい唸をあげてわが頭上に落ちてくるものと覚悟しなければならない。
そのとき艦長は叫んだ。
「艦載機一号、出動用意!」
突如発せられた命令を、伝令兵は伝声管によって、艦内へ伝えた。
空襲警報
艦載機一号の操縦者は、柳下航空兵曹長だった。命令の出たときには、すでに空曹長の用意は全部整っていた。
「柳下空曹長です。一号機の出発用意よろしい」
すると艦橋の艦長は、わざわざ伝声管にとりついて、重任の柳下航空兵曹長に、こまごまと任務について訓令するところがあった。
「――分かったな」
「はい」
と空曹長は早口に復誦した。
「よろしい、出発。武運を祈る」
「はっ、では行ってまいります」
と、空曹長は隣の家へでも、出掛けるような気軽さで、愛機の席についた。
命令一下、艦橋の下に隠れていた扉が、ぱっと左右に開くと、バネ仕掛のようにカタパルトが顔を出し、その次の瞬間、轟然たる音響もろとも風を切ってぱっと外にとびだした軽快な一台の艦載飛行機! それこそ柳下空曹長の操縦する一号機であった。