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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
倉庫の中からとびだした黒い影は、まずケリーの手提電灯を叩き落し、かたい拳で頤を突き上げたのだ。ケリーはそのまま後へひっくりかえり、しばらく気を失っていたのであった。
あとでようやく気がついて、頤をなでながら起きあがったときには、もはや乱暴者の姿も見えず、倉庫の扉が開きっぱなしになっているばかりだった。
「あいつは、この倉庫でなにをしていたのだろう」
と、ケリーは痛さをこらえ、手提電灯を持ちなおすと、倉庫の中に入ってみた。
ところが倉庫の中は別になんの変ったところもない。妙なこともあればあるものだと思った。始終を聞いた仲間の者達は、ケリーの間抜さ加減を笑いながら、
「――しかしケリーよ。なにか盗まれたものがあるにちがいないぜ。いまにきっと貴様は出し入れ帖の上で団長閣下にあやまることになるぜ。ふふふふ」
「何だって――」
とケリーが頤をおさえながら、その方へつめよると、一座はまたどっと爆笑した。
× × ×
その頃であった。飛行島の「鋼鉄の宮殿」に近いところから、突然ぱっと火が燃えあがった。それが一箇所ではなく、三角形に三箇所も一度に燃えあがったのだ。