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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
空からなりと、海面からなりと、一機の敵飛行機であれ、一隻の怪ジャンクであれ、向こうから近づけば、どんなことがあっても生かしては帰さぬ決心であった。飛行島の秘密は、あくまで守らねばならない。
闇夜の海面を圧する轟々たる爆音は、護衛の飛行団が発するエンジンの響であった。
飛行島の周囲に、ちらちらする灯火は、護衛駆逐艦の標識灯であった。
また護衛の潜水艦は、飛行島の前方の海面下を警戒しつづけている。
この三段構の警戒網を突破し得る不敵の曲者は、よもやあり得ないものと信ぜられた。
建設団長のリット少将は、いまやこの飛行島の艦長然として、はじめて司令塔に入ったのである。この司令塔の内部こそ、およそ近代科学の驚異であった。
一言でいいあらわせば、人間の脳の組織を顕微鏡下で見たとでもいうよりほかないであろう。
飛行島の甲板、砲塔、格納庫、機関部、操縦室、監視所、弾薬庫、各士官室、無電室、その他ありとあらゆる島内の要所から、この司令塔内へ向かって、幾十万、幾百万の電線が集っているのであった。
それは通信線もあれば、点火装置もあれば、速度調整装置、照準装置、そのほか飛行島のすべての働きが電流仕掛で司令塔内より至極手軽に動かされるようになっていた。