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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
リット少将が司令塔の床を踏みならして怒っているのも無理はない。
「誰でもいい。フランクを取り抑えてこい」
副官はスミス中尉と顔を見合わせた。
「では私がスミス中尉と一しょにとりしずめてまいりましょう」
「うん、早くゆけ。ぐずぐずしていると、大事なわが飛行島の機関部に、どんな大損傷が起るかもしれん。海軍士官はたくさんあるが、飛行島はかけがえがないのだからな」
「えっ?」副官は、ちょっと自分も一しょに侮辱されたように感じて、むっとしたが、そのままスミス中尉をうながして、下へ急ぎおりていった。
「馬鹿な奴じゃ」
リット少将は、吐きだすようにいって、展望窓のところへ歩いていった。そこからは、まるで仕掛花火がはじまっているような海上の騒が見えた。幾十条の探照灯が、網の目のように入まじって、海上を照らし、爆雷の太い水柱がむくむくあがっている。
「け! あそこにも大ぜいの馬鹿者が英国海軍の恥をさらしている」
リット少将は、拳固をかため、展望窓のところでぶるぶるふるわせた。
× × ×
ところで、第四エンジン室の騒というのは――
さきほど分隊長フランク大尉は、リット少将のところへ電話をかけて、第四エンジンを日本将校カワカミらしい男が操っているから、試運転を一時中止して、彼を引捕らえたいからと申し出た。