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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

リット少将は、とんでもないという声色で、自分はさっきから直接伝声管でもって彼と連絡しているが、あれは実に見事な運転ぶりを示している。一たいカワカミなんかに、英国海軍工廠が秘密に建造したディーゼル・エンジンの運転ができるはずがないではないか。あれは、自分で名乗をあげていたように、フイリッピン人カラモという依託学者で、ロンドンの英国海軍工廠にあってエンジン製造に従事していた者で、エンジンには相当くわしいからこそ、ああして立派な操作をやっているのだ――と叱りつけた。

なおもフランクが抗弁したところ、リット少将は大の不機嫌で、カラモは怪しくない、自分が保証する。それよりもお前は分隊長のくせに持場を離れていて、この重大な試運転中いつ呼んでも伝声管の向こうに出てこなかったではないか、普通なら処分するところだが、いまは飛行島の実力試験の最中だから大目にみてやる。早く持場へかえれと、さんざんやっつけられた。

分隊長フランクが、真青になってエンジン室へ引揚げて来、そして飽くまでカラモの正体をあばいてみせるぞと決意もかたく、ピストル片手にカラモの一挙一動を監視していたことは、すでに知られたところである。