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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
それとも貴様はなにか、あの飛行島をこしらえるわけをくわしく知らにゃ許さんというのか、たかがああいう馬鹿げた無用の不時着場を、――」
川上機関大尉はにやりと笑って、
「それ見ろ、気にしていないなんていっていながら、貴様はちゃんと飛行島のことを考えているじゃないか。無用の不時着場!(無用の)といったね」
「それはそうさ。飛行機は、ますます安全なものになり、快速になってゆく。だからあんな飛行島なんてものはいらなくなるよ。無用の長物とはあのことだ。わが国でもしあれに金を出すやつがいたら、俺は大いに笑ってやるつもりでいた」
「しかしなあ長谷部。そこのところをよく考えおかないじゃ、未来の連合艦隊司令長官というわけにはゆかないよ」
「うふ、未来の連合艦隊司令長官か、あっはっはっ。俺がなることになっていたっけ」
長谷部大尉は、酔うといつもそういう気焔をあげるのが癖だった。
「それなら一つ考えろ」
「なにを考えるんだ」
「つまりこういうことだ。たかが長谷部大尉にもよくわかる無用の長物の飛行島を、なぜ、千五百万ポンドの巨費をかけてつくるのだろうか。しかも飛行島を置くなら、なにもあんな南シナ海などに置かず、大西洋の真中とか、大洋州の間にとか、いくらでももっと役に立つところがあるんだ」