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うみがよんだはなし
海が呼んだ話
小川 未明
「日本の子供」1939(昭和14)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,700 字 · 8 页
海産物のほかに、お茶や卵を売っていました。おじさんというのは、まだ若く、やっと三十をこしたくらいに見えました。それにひとり者で、いつも店にさびしそうにすわっていました。
「おじさん。」といって、清吉や、正二や、ほかの子供たちが、じきに遊びにいくようになったのも、一つは、勇ちゃんの叔父さんだったというので、まったく他人のような気がしなかったからでもありましょう。
なんでも珍しいことを知りたがる子供たちは、この店へやってくると、
「おじさん、海の話をしてよ。」といいました。
「は、は、は。」と、無口のおじさんは、笑っています。
「おじさんは、海の底へ入ったことがある?」と、正二が、聞きました。
「は、は、は。海の中へは、毎日のように入ったし、小さな舟に乗って、遠くへ釣りにいったこともある。」と、おじさんが、答えました。
「正ちゃん、おじさんは、海へくぐるのが、名人だって。そして、さんごや、いろんな貝や、魚など、なんでも手で取ってくることができるんだって、いつか勇ちゃんがいったよ。」と、清吉がそばからいいました。
「え、おじさん、ほんとう?」
「うん、ほんとうだ。」