轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんやはねむるにかぎること

深夜は睡るに限ること

坂口 安吾

「文学界 第一巻第五号」1949(昭和24)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,848 字 · 4 页

青空文庫

私は皆さんに精神病院へ入院されんことをおすゝめしたい。精神病院には深夜のメイ想などゝいう古典的なるものは存在しないのである。深夜はみんな睡っています。睡らせてくださるのです。こういうのを神の力というのかも知れない。

精神病院には、持続睡眠療法という浦島太郎の弟分に当る古典的近代が実存致しているのです。この浦島次郎療法は鬱病とか麻薬中毒などに用いて卓効がある。さる強力な催眠薬を用いて人工的に一ヶ月ほど昏睡させるのである。僕のように日頃催眠薬を使いなれていた者には、きゝが遅れ、薬量も甚だ多量を要して、病院をまごつかせるが、それでも、結局、眠らされてしまう。平常催眠剤を使っていない人なら、効果はテキメンで、昏々と一ヶ月、まるまる眠りつゞける。食事は看護婦が流動物を流しこんでくれるから、その他モロモロのことも心配がいらないのである。

浦島太郎と違うところは、竜宮の門をくゞらないことで、一ヶ月目に、昏睡から目ざめると、思いだすのは昏睡以前の眠りに就くときのこと、つまり一ヶ月以前の就眠時を昨夜のことのように思いだす。その間一ヶ月が経過しているなどゝは、どうしても信じることができない。