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しんやはねむるにかぎること
深夜は睡るに限ること
「文学界 第一巻第五号」1949(昭和24)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,848 字 · 4 页
私はこのようにして、浦島次郎の実存を確認し、甚しく、気が強くなった。又、疲れたら、あそこへ旅行して、睡らせて貰ってこようや。
だいたい、深夜のメイ想などゝいう神代的遺物は、当節、やめた方がよろしい。
医師法というものがあって、拙者が人助けのために精神病院を開業することができないのは実に残念至極である。風光明媚なる適地に、バンガロー風の病院をたて、ベッドにねむれば星が見える。ねむれば、なんにも、見えないがね。職業意識が燃え立つせいで、宣伝文の要領が、ミューズとなって発現するのである。さて、このバンガローに、睡眠旅行ホテルというような名前をつける。精神病院という名前はよくないからね。新聞へ広告をだす。モロモロの疲れたる近代人よ、というような呼びかけはチンプかな。みんな浦島次郎にして、すこやかに帰す。星を眺めて、やがて昏々と睡り、一ヶ月、目をさませば星がある。その間に戦争があろうと地震があろうと、吾関するところに非ず。たゞ、新婚旅行には適しない。アベックは別のホテルへいらっしゃい。つまり、近代に於ては、アベック用のホテルと、睡眠用のホテルと必ず二つが必要なのである。