轻松读懂日语经典作品
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はなかみろうにん
濞かみ浪人
吉川 英治
「サンデー毎日 新春特別号」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,425 字 · 39 页
『抛っとけ、抛っとけ』
一閑は、自分で相手を投げ込んだようにそう云ったが、ふと気づいて、
『そうじゃ、お千賀、数右衛門殿に礼を云え。ここまで送って下すったのじゃ』
数右衛門は、感心したように、お千賀の顔ばかり見ていた。当然、彼は父娘の好意に甘えて、小山田家に立ち寄った。一閑は隠居の身だし、庄左衛門は居なかったし、百石ばかりの小身な住居なので、気の措ける煩いもない。
『もう、もう、これ以上は、頂戴できませぬ。又、次の日に、後の分を、飲みに参ることにいたして……今宵は……今宵はこれにて……』
数右衛門は、へべれけに酔って、久しぶりに堪能したらしく、帰って行った。
お千賀は、後で、
『おもしろい無邪気なお方でございますね』
と、父へ云った。
その晩から、数右衛門は度々遊びに来た。いつ来ても、息子の庄左衛門とは出会わなかった。
あまり家庭に見えないので、或る時、無遠慮に聞いてみると、
『旗本仲間に友だちが出来おって、近頃、遊蕩は覚えるし、交際い張って、困りものじゃて』
と、一閑は苦り切って答えた。
そんな事情を知ると、いつかの晩、蠣浜橋で一閑に斬りつけて来た男も、何の意趣か、事情が読めてきた。