轻松读懂日语经典作品
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はなかみろうにん
濞かみ浪人
吉川 英治
「サンデー毎日 新春特別号」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,425 字 · 39 页
殿のお沙汰が軈て下るし、深くお咎めないらしいから、そう恐縮していないでもいい、心配せずといいと、同僚が代る代る慰めに来ても、彼は、
『うむ。うむ……』
と、頷いてみせるきりで、やはり頭を垂れた儘、畏っていた。
午頃、お表へ呼び出された。
殿のおことばであるぞ――と何日もの源吾とはまるで違った人のように峻厳に云い渡しがあった。
『至急、松山城外にある大石殿の手元まで、殿の御秘札一通を携えて、急使の役、仰せつけられる。御用済みの上もお沙汰あるまで、出先大石殿の手に従いて在役の事。よろしいか、数右衛門、相分ったか』
『はっ』
『御書状、粗末にすまいぞ』
と、殿墨付一通を渡されて、数右衛門は夢心地に引き退がった。
すぐ旅支度。
そう伝え聞いて、彼の同僚たちは、彼の住居へどやどやと押しかけて、餞別を渡しながら、凱歌をあげた。そして口々に、
『数右衛門、女はいくらでもあるぞ、あんな女に、未練を持つなよ』
『いくら庄左衛門や一閑が、貴公の不埓を云い立てても、その儘、受け取られるようなお上ではない。今度の縁組も、小山田の一家が、金に眼が晦んで運んだ事、又、相手の家門に媚びている事、おそらく、殿にもその辺の彼等の心情は、憎んでおられるにちがいないのだ』