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ひなわじゅう
火縄銃
江戸川 乱歩
「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,117 字 · 19 页
「じゃ、あれは? あの銃は?」
警部はなかば向きを換て、寝台の上を指さした。そこには、最新式の連発銃が、やっと手の届く程の高さの所に懸っていた。迂濶な話だが、私はそれ迄ちっともそれに気がつかなかった。
「あれは兄様のでございまして、あれで毎日裏山へ猟においででございました」
その時、死体から離れて窓の外を眺めていた刑事が、何を見出したのか、
「アッ、これだ」
と叫んだ。私もその声に釣られて、刑事の背後から窓の下を見ると、昨日の雨で湿った余り広くもない庭に下駄の跡がクッキリ印されていた。それを見極めた刑事は、さも我意を得たという風に、警部の方に向って、一席弁じだした。
「犯行の経路は至極簡単のようです。つまり、犯人は被害者の昼寝の習慣を知っていて、丁度被害者が寝就いた頃、この窓の外へ忍び寄り、静かにこの窓を開けてその火繩銃で狙撃したのです。そして銃を机の上に置いたまま逃走したという訳でしょう。ですから、被害者の日常生活をよく知っている者を調べ上げたら、犯人は直知れるだろうと思います」
その時、廊下にバタバタと惶しい足音がして一人の青年が飛び込んで来た。二郎だ。