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かそうこくふうけい
火葬国風景
海野 十三
「帝都日日新聞」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页
「くだらんことを云うな。幽霊なら、ちと幽霊らしくしたらどうだ」
と八十助は云ったものの、自分の方が随分下らんことを云ったものだと呆れた。
「まアいい。僕が幽霊だか、それとも生きているか、それは君の認識に待つこととして、僕は一つ君に聞いてみたいことがある」
幽霊にしては非常にしっかりしたことを云うので、八十助はもう何がなんだか判らなくなった。そして応える言葉も見当らなかった。
「いいかネ。君は細君を亡くしたネ。たしか君たちは熱烈な恋をして一緒になったのだネ。君は輝かしい恋の勝利者だった。……」
「ナ、なにを今頃云ってるんだい」
「うん、……そこでダ、君に訊いてみたいのは、君は亡くなった細君――露子さんと云ったネ、あの露子さんに逢いたかないかネ」
「露子に?」
露子に逢いたくないかといっても、露子は亡くなったのだ。そして火葬に附して、僅かばかりの白骨を持ってかえって、今それを多摩墓地に埋めてある。骨になった者に逢いたくないかというのは、盆の中の水を地面にザッとあけてその水を再び盆の上に取り戻してみせる以上に難いことだった。このカマキリ奴は、幽霊である上に御丁寧にもおかしいのだと思った。