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かそうこくふうけい
火葬国風景
海野 十三
「帝都日日新聞」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页
「はア、じゃ一つ、甲野君を驚かせることにしますかナ」といって八十助の方をジロリと眺めた。「だがその前に、是非云って置かなければならぬことがある」
(おいでなすったな――)と八十助は思った。
「それは、君を此処へ連れて来たからには、もう絶対に日本へ帰って生活することを止めてもらいたいのだ。第一君はもうお葬式をすませ、戸籍面からハッキリ除かれているのだからネ。いま日本へ帰っても、君が僕を幽霊と間違えたように、君は幽霊だと思われて人々を驚かせる外になんの術も施すことができないのだからネ」
「お葬式を済ませたというと……」
「そうだ。君は覚えているだろう。新宿の酒場で飲んでいたときフラフラと倒れたことを。あれは僕が密かに盛った魔薬の働きなのだ。あれで君は仮死の状態になった。恐らく医師が診ても、あれを本当の死としか考えられなかったろう。君は行き倒れ人として一旦アパートへ引取られそれから親類総出でお葬式を営まれたのだ。君の両親も友人もその葬式に参列し、あの花山火葬場で焼いて骨にしたと信じている」
「そんな馬鹿なことが……」
「君の遺族は、壺に一杯の骨を貰って、何の疑うところもなく、家に引取ったのだ」