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かそうこくふうけい
火葬国風景
海野 十三
「帝都日日新聞」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页
「その骨というのは……」
「無論、どこの馬の骨だか判らぬ人間の骨なんだよ。君は知るまいが、人間の骨なんて、いまの世の中には、手を廻せばいくらでも手に入るものだよ」
「ナ、なんていう奴だ。恐ろしいインチキ罐係め」
「そうだ、インチキ罐係の言葉は当っている。君は僕の少年時代のことを思い出して呉れるだろう、僕はいくら運が悪くなっても、ぼんやり暮らしているほど、自分の力量に自信のない男ではない。云いかえると、罐係をやったのも、一つの大きな目的があってのことだ。僕は何を考えて罐係になったか、想像がつくかい」
「…………」それは今となって想像がつかないでもないが、相手は何しろ非常識な男のことであるから、ハッキリは指して云えない。黙っているのが勝ちである。
「僕は一見不可能なことを可能にして、この世の中に素晴らしいゆっくりした国を建設したかったのだ。君はあの大晦日に迫ると、なんとなく身辺がゆっくりして、嬉しさが感ぜられるということを経験したことはなかったかネ。あれは、もう今年も残りは二三日となり、いくら焦ってみても、もうどうにもならぬ、――という気持ちが、あの使い残りの二三日をたいへんゆっくり嬉しく感じさせてくれるのだ。