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かやくせん

火薬船

海野 十三

「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页

青空文庫

ではすこしかんがえたうえで、買うか買わないかを、はっきり決めよう。そのうちに、僕の方から電話をするからね」

「へい、どうもありがとうございます。どうぞよろしく」

警部モロは、ポーニンに別れると、すぐその足で、警備庁へかけつけた。

「おい、どうだったか、モロ警部」

「ああ、長官。ポーニンの奴は、はなはだ奇怪なところへ、あの多量のセメントを売りこむようですよ」

「ふん、そうか。それで……」

「第一に、そこは太陽の照っていない場所です。第二に、そこは、塩分がある場所なんです。どうです、お分りになりますか」

アンドレ大佐は、首を横にかしげて、怪訝なかおをした。

「なんだ、それは。まるで謎々のだいみたいではないか。このいそがしいのに、そんな遊戯はよそうではないか」

「はははは。長官閣下、これは、遊戯的な謎々ではありません。現下の国際情勢の複怪奇性を解く重大な鍵の一つでありますぞ」

「ほう、モロ警部。はやく結論をいったがいい」

長官アンドレ大佐は、自分の長い髭を指先で、ちょいとおしあげた。

「つまり、長官閣下、これはポーニンの買いこんだセメントが、海底でつかわれることを物語っているのです」