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うし
牛
「文藝春秋 第三一巻第五号」1953(昭和28)年4月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,971 字 · 25 页
この話はたちまち村中にひろまった。その結果、逃げた五人連れの学生を見たというものが現れ、どこの誰それがその一人だったというようなことから、五人の真犯人はつかまった。しかし、それまでには半月ほどの時日を要したので、光也はその期間受難の生活をしなければならなかった。
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この山中に昔から里人の信仰あつい神社がある。今は県社であるが、大昔の神名帳では大社になっているそうで、この辺の豪族だった国ツ神を祭ったものではないかと考えられている。
光也の家は代々その神官であるが、実は祭神の子孫であるとも伝えられている。もっとも、確実な史料があってのことではなく、彼の家に伝わる系図というものも、その必要があって百年前ぐらいに製造したらしい怪しいシロモノであった。
神様の子孫とは云いながら、特に里人の尊敬を受けているわけでもなく、彼の一族が晴がましい思いをするのは、年に一度のお祭の時だけだ。
この山中では常時オサイ銭があがるということはなく、神社で生活はできなかった。終戦後の現象ではなく、ずッとそうだった。したがって、彼の家の本当の職業は農である。