轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ろうしつき
狼疾記
「南島譚」1942(昭和17)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,540 字 · 47 页
、弔辞の中の文句に似た言葉が並んでいる。
やっと三造には凡てがのみこめて来た。一種の詐欺出版のようなものにM氏は掛けられたのだ。――つまり、『日本名婦伝』とかいう書物の中に貴下の奥さんの記事を載せたいから、などと煽て上げ、天下の愚夫愚婦から、相当な金額を絞り取り、下らぬ本を作ってはそれをまた高く売付けるという・話にも何にもならない・仕掛にかかったに違いないのである。しかもM氏は欺されたとは毛頭考えずに、得々として人ごとにこれを見せ廻っているらしい。それにこの文章は明らかにM氏自身の執筆である。
頁をめくって前の方を見ると、何と、紫式部、清少納言のたぐいがずらりと、やはりM夫人と同じ組方で、それぞれ一頁の半分ずつを占めて並んでいる。三造は目を上げてM氏を見た。三造の呆れた顔を感嘆の表情ととったものか、M氏は隠し切れない嬉しさを見せて鼻をうごめかしている。(彼が笑うと、黄色い歯が剥き出され、それと共に、その赤い鼻が――誇張でも形容でもなく――文字通り、ヒクヒクとうごめくのである。)三造はすぐに目を俯せた。堪えられない気がした。喜劇? そうかも知れぬ。