轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろうしつき

狼疾記

中島 敦

「南島譚」1942(昭和17)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,540 字 · 47 页

青空文庫

で挑発された・この男への・意地の悪い好奇心のせいだったかも知れない。

余り飲まない三造に、そう無理に勧めるでもなく、一人で盃を重ねる中に、M氏はその赤い鼻をますます赤くして脂を浮出させ、しかも絶えず黄色い歯を剥出してニヤニヤし続けている。そうして、例によってはっきりしない言葉でゆっくりゆっくりまだ細君の話を続けている。かなり際どい話を、実に素朴な表現で、縷々として続ける。当人には別にそれが際どい話だという自覚はなく、ただもう話さずにはいられないで自ずと話しているらしい。閨房中のことについて何か今の奥さんに遺憾な点があるのだといって、締りのない口付でそれを長々と述べ、「大変残念なことです」と叮寧な言葉で、第三者のことをいうような言い方をするのである。一体どういう了見でこんな話をするのか、と、三造はしばらく、まともにこの男の顔を見返して見たが、結局、とりとめのない・ぬらぬらしたような笑いに空しく突離されるだけだった。こんな話を聞く時には一体どんなポーズを取り、どんな顔付をすればいいのか、三造はすっかり当惑して、てれくささを隠すために強いて盃を取上げるのである。