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ねこはち

猫八

岩野 泡鳴

「大阪毎日新聞」1918(大正7)年9月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,513 字 · 39 页

青空文庫

「そりゃたぶんそうだろう」

「………」猫八にはバックとかハイケイとかが何のヘラだか分りませんと言って、皆を笑わしてみたかったが、自分の言ったことを問題に採用してもらったので鼻を高くして、まじめくさった顔で、「そうして、この小説はそれでお終いでげしょうか――何か別に落ちでも?」

「は、は、はア!」二三名がただ笑うだけであった。

「………」猫八には変なところでどッと来たものだと思われた。

「落語家じゃないよ」と、天神さまがまた入らざる口を出したと思われたが、猫八はすぐ自分の無学を冷かされたのだと分ったので、極りが悪いのをまた謝罪にまぎらせてしまった。

「へい、どうもすみません」

「小説には落ちなんかはないが」と、主人は言葉を改めた、「猫八なら落ちともみるだろうと思われることがこの小説を結んでいて、しかもそれがためにこの一篇を浅薄ながら生かしているのだ。深井は幕切れに大喝采を得て縫いぐるみの姿で得意そうに引上げる時、暗い書き割りのかげから『お父さん』と言って自分に飛びついたものがある。びッくりして見返ると、自分の子供が父のあまりばかばかしい役をしたのを子供ながら泣いているのであった。