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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

のんだくれて歌をうたっている。すぐ下りて、ずっと広島市街の見晴せるところへ来て、みよし野という茶屋のはり出しに休んでお菓子をたべ、そこでしばらく話し。私は三人でどこか落付いたところへ休みたいと思い、宿やか何かへ行こうかと思ったが土地の様子も分らずそうやって、話して、それからズックの物入れ、空気枕など買うために又福やへ戻りました。(広島ではメーターの基本が60銭ね。東京の倍です。東京は30からはじまる。)そこで買物が不足。空気枕なし。本通りという人ごみをごたごた歩いて、森永で又休んで、もうそのときは四時。五時すぎにかえって風呂にも入った方がよいというので、四時半頃西練兵のところで電車にのる私たち、かえる隆ちゃんと訣れました。

お母さんは面会で上気せ、ゆかれることで上気せ、人ごみでおのぼせになってあぶなくて。私は怪我があってはいけないと思い、時々こわい声して、それでも無事広島から五時二十五分のにのりました。

ゆっくり会えて、本当によかった。隆ちゃんはほんによう早うに来て貰ってすまんかったと云ってよろこんでいてくれて、うれしゅうございました。十六日に私がゆくというお手紙ね、そちらの。