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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
夜は下の部屋に、お母さん、多賀ちゃん、私、眠ります。こんなことでも私が早おきになっているのでどんなに楽かしれません。早ねを皆と一緒にして、大抵同じ頃起きられますから。案外のところに功徳がありました。これで私が早くおきられないと、自分でも辛かったでしょうから。このKという人の性質はその机のありぶりを見ても分るようなところがあって、なかなかの努力家、まけん気。もう一人いる広瀬という仲士はすこしぬけさんと云われますが、気はよい男です。トラックの方はこの二人がきっちりやっていて、毎日25~30ずつ仕事している由です。先月は 600 位の由。ですから、お母さんもこの頃はすこし気がのんびりとしていらっしゃるわけで何よりです。
それについてね、お母さん御上京のプランがあるのです。今ならば二人がトラックはやっている。多賀ちゃんも落付いている。二人の息子を出してしまって、お母さんはあなたの顔が御覧になりたいのです。この頃は毎日でも面会が出来るそうだから、前後十日ぐらいの予定で行って七日ほど毎日ちいとあてでも会うたらさぞよかろう、というわけです。秋に行こうと仰云いましたが、秋はいろいろそちらの用も殖え、又お母さんの御上京が単純でなくなるといやですし、今ならまだひさも居り、あの家の四畳半もお母さんのお部屋に当てられるし、今度