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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
私が癒るためにいい刺戟に不足していたと同じに。そのために時間をくうという点もあります。幸、今に涼しくなると、もう少し度々行くことも出来るようになり、あなたも体のもちかたが楽におなりになり、幾分はましとなりましょう。
一寸お話していたとおりノイザールという薬は利いてこれ迄ずっといつも圧巻があって悲しかった頭のてっぺんが軽やかになりました。疲れが少くてよくなったこと、涼しくなったこと、薬が合うこと、あなたが安定を得て下すったこと、みんなそれは私の頭のてっぺんを軽やかにする原因でした。
カッパの頭のてっぺんに何故人間は皿を描きはじめたでしょう。面白いしおかしいことね。どうせ架空のものでしょう。その頭の皿が乾くと力がぬけるなんていうのは感覚の問題で、人間は頭のてっぺんの工合について昔から何か無関心ではなかったというのでしょうか。この頃こんなことを云って笑うのよ。「河童の皿が内へ、凹まなくなったからいい気持!」すると、咲枝が答えます、「ほんとにそうらしいことよ、顔つきも落付いて来てよ」脳天の大切さ沁々と感じます。
御存知の鈴木氏の令嬢二人のうち長女が半沢氏へ嫁しました。