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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页
と、才蔵が、又、なだめておいて、神様の使者に向って尻を立てゝ腰をかゞめた。
「あの、明日からは何時ごろに参りましたら宜しゅうございますか」
商家の丁稚が番頭に伺いを立てるような心易さだが、神様の使者は怒らない。
「朝夕のオツトメには、まだ加わることはできない。朝の十一時ごろ来てみるがよい。場合によっては神膳のお下りをいたゞくことができるから、人数だけの昼食の米をお返しに捧げなければならないぞ」
「ハイ」
雲隠才蔵はニコニコと手帳をだして書きこむ。エエと、朝の十一時、米持参。まことに心易い様子であるから、神様も拍子ぬけがするのかも知れない。
こうして、第一日目は成功に終った。したたかに蹴られ踏んづけられた正宗菊松が哀れな思いをしたゞけであった。
その夜、彼は妻子のことを思いだして、ねむられなかった。彼の妻子は実家へ疎開のまゝ、いまだに転入ができないのである。転入ができたところで、彼の今の給料では生活ができない。彼は晩婚であったから、長男はまだ十九だが、上の学校へもあげられず、女房の実家で畑を耕しているのである。
行末のことを考えると、心細さが身にしみる。