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りかきょういくのこんてい

理科教育の根底

丘 浅次郎

「東亜の光 13巻11号」1918(大正7)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,018 字 · 12 页

青空文庫

わが国今日の教育上の急務は実に研究心の養成にある。研究心の養成さえ充分にできたならば、その先は自然に任せて置いても進歩すべきはずで、あたかも根の発達した樹木には自然に花が咲くのと同じ理窟である。理科を授けるにあたって一々の事実を教えることもけっして不必要というわけではなく、これにも充分に意を用いねばならぬが、独力進歩の根底なる研究心の養成は、さらに幾倍も必要であることを忘れてはならぬ。

今日小学校などで行なわれている理科教授の実際を見るに、五十人以上の多数の生徒を教室に集め、何列かの机に行儀よく着席せしめ、一々教師の号令によって、実験せしめたり、観察せしめたりしている。これは昔、実物なしに、ただ書物を読ませたり、講釈して聞かせたりするだけで理科の教授をすませたのに比べれば、もちろん優っているには違いないが、実物に触れ自身に実験さえさせれば、それで理科の教授は目的を達したものと考えては大なる間違いである。事実を覚えさせるだけならばこれで充分であろうが、研究心を養成することは、かような方法ではとうていできぬ。とくに実用に重きを置くと称して、すぐに役に立つような事柄ばかりを教材に選む場合には、なおさらただ教えて覚えさせることのみが主となって、研究心の養成の方は全く忘れられている。