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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页
とこう云うのがその二つでござる。……しかるに貴殿におかれては、丹生川平の郷民達を、このように討ってお取りになり、小枝を奪おうとした上、拙者の仕事の邪魔をなされた。……何の貴殿が丹生川平へ、これからおいでになろうとも、丹生川平の郷民達が、歓迎などをいたしましょうぞ。その証拠は……」と云いながら、弦四郎は頭を背後へ巡らすと、背後に連らなり聳えている、大森林を眺めやった。と、ドッと云う大勢の鬨の声が、その大森林の中から起こって、ムラムラと騎馬の一団が、大森林の中から現われて来た。
「その証拠こそあれでござる!」
こう云うや弦四郎は身を翻えして、騎馬の一団の走って来る方へ、脱兎のようにひた走ったが、走りながらも茅野雄へ云った。
「貴殿を討って取ろうとして、丹生川平の郷民達が、押し出して来たのでござりますぞ!」
それから刀をひっこ抜くと、騎馬の一団の走る方へ、高々と上げて差し招いた。
「方々ようこそ参られた! ご助勢くだされ! ご助勢くだされ! あそこに立っている侍こそは、怨敵白河戸郷に味方をする、某という痴漢でござる! 拙者が小枝を奪おうとしたのを、邪魔をいたしたそのあげくに、丹生川平のあたら若者を、五人がところ討ち取ってござる! 早々討ってお取りくだされ!」