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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

「浪江殿ではござらぬか※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「……その姿は? ……白皓々!」

茅野雄と弦四郎とは同時に云った。

それから数日後のことであった。三挺の駕籠が前後して、花の曠野へ現われた。

曠野へ駕籠が三挺出て、すこしばかり先へ進み出した時、もう一挺の駕籠が出て、三挺の駕籠へ追いついた。

数日前に萩村の駅の、柏屋という旅籠屋から、乗り出した駕籠に相違ない。

では真っ先の駕籠にいるのは、いわれぬ威厳を持ったところの、高貴な身分の若武士であろうし、その次の駕籠にいる者は、松平碩寿翁その人であろうし、その次の二挺の駕籠にいるのは、身分に見当の付かないような、小気味の悪い老人と、若い美しい娘とであろう。

さてこうして四挺の駕籠が、丹生川平と白河戸郷とを、連絡している花の曠野へ、同時に姿を現わした。どっちかの郷へ行かなければなるまい。

と、はたして四挺の駕籠は、白河戸郷の方角へ向かって、ゆるゆると歩みを進ませて行った。

と云うよりも真っ先の駕籠が、白河戸郷の方角を目ざして、ゆるゆるとして進んで行くので、碩寿翁の乗っているもう一挺の駕籠が、その駕籠についてその方へ進み、碩寿翁の乗っているその駕籠が、その方へ進んで行くところから、それをつけてその次の二挺の駕籠が、その方へ進んで行くのだと、こう云った方がよさそう