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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

そうして一ツ橋慶正卿が、何やら将監へ囁いた。

と、形勢が一変した。

郷民達が慇懃になり、一度に揃って慶正卿へ、ひざまずいて頭を下げたりした。将監においても丁寧になり、恭しく慶正卿に一礼し、それから自身が先頭に立って、回教寺院めいた建物の側の、一宇の屋敷へ案内した。それは将監の屋敷らしかった。

ところで碩寿翁と刑部老人と、巫女の千賀子とはどうしたかというに、これも将監に案内されて、慶正卿につづいて将監の屋敷へ、同じく招待されたのであった。

で、その後は白河戸郷は、以前ながらの平和に帰ったが、その平和には活気があって、明るさを加えたようであった。

これに反して丹生川平の方は、陰鬱の度を加えて来た。

わけても陰鬱になったのは、宮川茅野雄その人であって、ある日人目を避けながら、森林の中を浪江と一諸に、話をしながら歩いていた。

「あれは何事でございますか! 若い乙女の身をもって、一糸もまとわぬ全裸体で、あのような所におられましたのは?」

「止むを得なかったからでございます。……それにあの時ばかりでなく、従来もああだったのでございます」

「尚よくないではございませんか。