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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

一ツ橋慶正卿の言葉に従い、まず将監は白河戸郷の山岳宗教境を破壊した上、千賀子の元から奪い取り白河戸郷の神体としたアラ神の像を神輿に納め、「神像の完璧」を行なうために丹生川平へ進んで行こうとした時、醍醐弦四郎とその部下とが白河戸郷へ入り込んで来て小枝を奪い取ろうとしたのですぐに捕らえて縛り上げ、道々勘右衛門の一行と千賀子と刑部老人とを収容してここまで来たのであった。

勿論彼らは丹生川平と、戦いをするために来たのではなくて、和睦するために来たのであった。

やがて彼らの一団は、洞窟の入り口から中へ進み、間もなく神殿の前まで来た。

行なわれたことは何であったか?

この物語に関係のある、一切の人物と物品とが、一所に揃ったことであった。

もうこれで物語は終えたと云ってよかろう。が、しかしながら極めて簡単に、――スチブンソンの「ニュウアラビヤンナイト」式に、説明を加える方がよいとならば、説明をすることにしよう。

(一)大金剛石を両眼に持った、アラ神の像は千賀子のもとに代々伝わっていたものであったが、その一眼を覚明が奪い、他の一眼を何らかの手段で、松倉屋勘右衛門が手中に入れ、神像その物は白河戸将監が奪い、各々勝手に保存した結果が、事件の基となったのであった。