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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

ではサッサと行くがよい。行け行け行け、かまわない。……ハッハッハッ、勘右衛門殿、はしたないではござりませぬか。いかさまお菊殿はあなたにとっては、自由になるご内儀でござりましょう。が、しかしご内儀のお菊殿から云えば、自分一人だけの勝手の用事も、自らあろうというもので。そこまで掣肘をなさるのは、少しく横暴でござりますよ」

――と、このように云うことによって、京助を勘右衛門から立ち去らせ、怒って焦燥して執念深く、尚も京助を追いかけようとする、勘右衛門を抑えて動かさなかった。――で、事件は解決された。

が、この武士は何者なのであろうか?

旗本の次男の杉次郎なのであった。

根津仏町勘解由店の、一軒の家の階下の部屋で、話し合っている武士があった。

「アラの神は讃うべきかなさ」

こう云ったのは老いたる武士であった。

「もっと讃うべきものが厶」

中年の武士が皮肉そうに云った。

「さようさようアラの神よりも、もっと讃うべきものが厶。が、そいつは残念にも、容易に手には入らないようで」

「そこでいよいよ欲しくなります」

「で、貴殿にはここへ出張られて、狙いを付けておられるので」