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でんえんじょうちょうあり
田園情調あり
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,319 字 · 19 页
「さあ。漁がなければ行く」
「魚の方が面白い?」
「うむ。退屈したら行く」
「それじゃ当てにしないで待っているわ」
「釣れる積りだから当てにしない方がいゝ。それよりも帰りは何時?」
「三時の下りで帰ると丁度トボ/\頃でしょう」
「僕も三時までには勝負をつける。一緒に帰ろう」
「えゝ。駅で待っているわ。魚を貰って」
「貰わなくともいゝよ」
大岩に着いて直ぐに別れた。帰りは三時何分の汽車で一緒になったが、好晴の日曜だ。釣客が一時にドッと帰るので、乗り込んだらもう動けない。市の駅で下りてバスに乗った。そこも一杯だった。バスから下りたらもう日が暮れていた。
家まで可なりある。二人はそれが書き入れだった。
「大漁ね、それなら」
と秋ちゃんが寄り添った。秋ちゃんも魚のおみやげを提げていた。
「うむ。当ったんだよ。今日は」
「道理でお昼に待ちぼうけを食ったわ。伯母さんも泉の水町さんがお出になるって、張り切っていたのに」
「悪かったな。一生懸命だったものだから」
「やっぱり魚の方がいゝのね。私よりも」
「うむ」
「いゝわよ。さよなら」
「冗談だ。待っておくれ」
と水町君は二足三足駈けて追いついた。