轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たざきそううんとそのこ

田崎草雲とその子

吉川 英治

「文藝春秋 夏期増刊号」1932(昭和7)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,568 字 · 40 页

青空文庫

その垢摺りみたいな額の紫の布はなんだ』

『色子や、役者衆は、みんなこういう物を、額にあてております。私ばかりではございません。お目障りになりましたら、どうかお勘弁を』

『甚しい目障りじゃ。しからば汝は、役者という者か』

『岩井半四郎にござります』

『ほ。評判の大和屋だな。白昼、真っ白な妖怪が歩いて来たから一刀の下にと思ったが、人気者の大和屋とあればゆるして遣わす。それっ、これは祝儀じゃ、拾ってゆけ』

と、わざわざ、金座で鋳き立てを両替してきた小判を百両、ざらっと、往来へ撒いて、

『――はて、うららかな』

と、扇子で、顔を煽いで、得々と弥次馬の眼に送られて立ち去ったという話もある。

然しこういう人間は、松井の四人兄弟ばかりでなく、すでに末期相を兆わした頽廃文化の中には、ほかにも、類型が沢山うごめいていたに違いない。幕府は、京都と外国の交渉に腐ってくるし、浪士は、蛆みたいにふえるし、町人は、唯物生活に行き詰って、刹那主義に傾くし、役人の頭はぼけていて、為すことを知らない間に、足もとをつけ込んで、押込み、騙り、辻盗り、殺人、社会悪は、踊りを踊って為政者を馬鹿にする。